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トゥールビヨンの懐中時計をご紹介!

  • 2019.07.14

ウォッチ911の藤田です。

本日ご紹介する時計は、腕時計ではなく「懐中時計」なのですが、

ただの懐中時計では御座いません。

トゥールビヨン式の懐中時計

トゥールビヨンの懐中時計

何と!

トゥールビヨン式の懐中時計が、ついにここ「ウォッチ911」にもやってきました!

滅多に見られない、トゥールビヨンという「重力分散装置」ムーブメントを搭載した懐中時計。

詳しくご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。

そもそも、トゥールビヨンとは?

 

「トゥールビヨンとは何か?」という方も多いかと思います。

簡単に言うと、トゥールビヨンとは重力分散装置のことなのですが、

まず、
トゥールビヨンを発明したのは、時計業界では最も有名な歴史上の時計師アブラアン・ルイ・ブレゲです。

フランス語で「」の意味をもつその機構は、1800年ごろに発明されたと言われています。
ブレゲは時計の歴史を200年進めたと言われる人物で、トゥールビヨン以外にも様々な機構を発明または発展させた、まさに天才時計師です。

そして、トゥールビヨンを理解するための大きなポイントは、発明された1800年ごろは今回ご紹介するような「懐中時計が主流だった」ことです。


懐中時計が使われるシーンをイメージをしてみてください。

懐中時計は“紐やチェーンに吊るされる”スタイルが基本としてあり、実際の持ち出し場面ではポケットに入れて持ち歩かれます。
そのため懐中時計は、文字盤を地面に対して垂直にする“タテ姿勢”であることが多いのです。

モバードの懐中時計

“タテ姿勢”にすると、重量の影響を大きく受け、規則正しい伸縮が乱されてしまいます。

そこでブレゲは、精度向上のために、ヒゲゼンマイにかかる重力の影響を分散させようと考えました。

重力は上から下に向かって(地球の中心に向かって)かかる力です。
そして、ヒゲゼンマイは重心にも注意を払い規則正しく伸縮するように調整されていますが、“タテ姿勢”で保持すると、重力によりその重心を下方向に持っていかれてしまいます。
そのため、“タテ姿勢”では精度が悪化しやすいのです。

この状況を解決するには、「常にヒゲゼンマイの姿勢を変えて、重力の影響を均等に分散させる」方法を取れば良いのです。

この“タテ姿勢”での精度向上を狙った発明が、トゥールビヨンです。

では改めまして、今回入荷いたしましたトゥールビヨン懐中時計のご紹介です。

Mobilisのトゥールビヨン懐中時計

トゥールビヨンの懐中時計

今回のこのMobilisというメーカーのものですが、1904年に特許がとられ、1905年から5年間だけ作られたタイプで、
表のダイヤルからトゥールビヨンが見れるもの、裏蓋を開けて見れるものがあったそうです。

銀無垢ケースの上にしょうがん(ぞうがん=象嵌)ケースのモデルが最高ラインだそう

トゥールビヨン

銀の最高ラインには、リューズセットが採用されているのがポイントだそうなので、こちらの懐中時計は銀製ということになるのでしょうが、ケースのコンディションはお世辞にも良くは無く、劣化も多く見られます。

当時は、製造にコストがかかってしまい、5年製造の短命になったそうで、
本当に欲しくても買えないモデルとなっているようです。

当時、このムーブメントを製造していた会社は、ブレゲやパテックなど雲上系メーカーとも絡んでいたようです。

トゥールビヨン

機械式時計のエスケープメント(脱進機)を、固定された4番車の上部に乗せた構造が「トゥールビヨン機構」なので、

このガンギ・アンクル・テンプの1セットが回転するのです。
それも、1分間に1回転という速度です。

200年前の時計技師たちの精度へのあくなき探究より生み出されたこの機構。

「時計師のロマンが詰められた技術」「時計の中にある小さな宇宙」と例えられるほど。
その高度な技術を持つのは、ごくわずかな最高レベルの職人のみとされており、莫大な時間がかかる上、緻密で繊細な作業を要求されるため非常にコストがかかるのも、頷けます。

mobilisの懐中時計

ケースには彫刻などはありません。

ケースに劣化がかなりありますし、このままでは使えません。
竜頭も抜けてしまうので、確実にオーバーホールが必要ですね。

いやー、それにしても貴重な懐中時計をお買取させて頂きました。
有難う御座います。

それでは、また。